『ギタードリーム』・『現代ギター』に携わった、菅原 潤さんについて。
『現代ギター』(1994年4月号)の新刊案内に菅原さんの記事がありました。
今月から新装開店。これまでは出版社から紹介用に送られた楽譜だけを扱っていたので、興味があっても購入できないという問題があった。
入手不可能な楽譜を「お勧め」と紹介していたのである。失礼しました。
ということで、今月から新刊と代理部新入荷を合わせて紹介しようと思う。もちろん後者の値段付きが代理部から入手できるものである。
それまでは、お勧め楽譜の在庫がなかった、ということのようです。
「菅原 潤さんのこと」(2021/8/19記事)で取り上げましたが、『現代ギター』(2002年4月号)、「初めての19世紀ギター」の座談会について。
編集長だった菅原さんは、司会ではなく、出席者として参加。アルポリールを構えた写真も掲載。
他の出席者は、井上景(19世紀ギタリスト)、福田進一(ギタリスト)、渡辺広孝(リュート・古楽器製作家)。
司会(西川知日己)
今日は司会ではなく、語る側に座っていただいている菅原さん。19世紀ギターとの出会いは?
菅原
出会いというよりも、ずーっと探していた(笑)。ギター音楽は全般に好きですけど、特に古典派からロマン派は若いころから好きだったので。
井上
それってレパートリーが好きだったのですか?
菅原
そう。でも19世紀は膨大に出版された時代なのに、現在手に入るものはその一部でしかない。もっとすごい曲が人知れず眠っているのじゃないかと期待して、オリジナル楽譜を探しはじめて。楽譜が集まると、しだいに当時のギターで弾いたらどう響くのだろうと興味がわいてきた。
最初はコストの曲を弾くために7弦ギターを作ってもらったのです。ご存じのように、コストの曲は7弦ギターでないと弾けない曲が多い。でも運よく、ロンドンの古楽器商から、コストが使っていたのと同型のラコート7弦ギターを手に入れることができた。
それから、ソルはアルポリールのために10曲書いているのですが、楽譜をながめていても響きが分からない。で、楽器を探したら、またまた幸運なことにパリの古楽器商が2本持っていた(写真参照)。楽器を手に入れて何を弾こうというよりも、楽譜が先で、使われた楽器を後から手に入れた。
現在、欲しいなと思っているのはJ・G・シェルツァー。1856年のマカロフ・コンクール製作部門の第1位。これでメルツを弾いてみたい。
菅原
先ほど言い忘れましたが、レイフ・クリステンセン[Leif Christensen]のオール・レゴンディのレコードは、多くの人々に19世紀ギターの世界の魅力を教えたと思う。
モダン・ギターでは固まりとしか聴こえない和音が、19世紀ギターでは内声の動きまでも全部聞き取れるのに驚いた。
レゴンディ(レイフ・クリステンセン演奏/ラコートを使用)
12月30日は、菅原 潤さんの命日です。