江部賢一ファンクラブ(私設)

ギターの名編曲者、江部賢一さんの仕事を、記録します。

武満徹 SONGS ④

番外編で、武満徹を取り上げています。

『SONGS』のギター編曲について。

 

 

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『翼~イン・メモリアム・タケミツⅡ』

武満徹 ギター作品集 第2集)福田進一(2008)

 

このアルバムの中で『SONGS』からの編曲は4曲です。

 

翼 [Wings](福田進一・編曲)
三月のうた [In the month of March](福田進一・編曲)
島へ [To the Island](福田進一・編曲)
翼 (二重奏版)(福田進一・編曲)共演/アタナス・ウルクズノフ

 

「翼」

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「三月のうた」

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「島へ」

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『島へ』 大萩康司(2004)

このアルバムの中で『SONGS』からの編曲は2曲です。

「翼」、「島へ」を収録。2曲とも福田進一さんの編曲です。

 

 

 

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『武満 徹 映画とテレビ・ドラマのための音楽』2021

『武満 徹 映画とテレビ・ドラマのための音楽』

鈴木大介によるギター編曲作品集)ショット社(2021)

 

武満の映画とテレビ・ドラマのための音楽のうち、鈴木がこれまで編曲を手掛けてきた、ギターを含む編成、あるいはギターでも演奏可能な10の作品を厳選。武満の愛娘である武満眞樹氏の全面的な協力を受け、武満の没後25年を迎える(2021年)2月20日に、ギター独奏および二重奏のための編曲作品集として出版される。武満徹の音楽がまた新たな世代へと引き継がれていくひとつの契機となるだろう。(ショット・ミュージック)

 

どですかでん(二重奏)
波の盆(独奏)
今朝の秋(独奏)
燃える秋(独奏)
夢千代日記(二重奏)
伊豆の踊子(二重奏)
青幻記(二重奏)
黒い雨(二重奏)
あこがれ(二重奏)
ワルツ(独奏)

新刊楽譜:武満徹《映画とテレビ・ドラマのための音楽》 (schottjapan.com)

 

『現代ギター』誌に掲載された編曲は次の通り。 

3月のうた(鈴木大介・編曲) No.471 2004年3月号 
どですかでん鈴木大介・編曲) No.466 2003年10月号 

『現代ギター』での武満徹の特集は、以下のもの等があります。

1996年7月号 特集「武満徹のギター音楽」

2006年8月号 特集「武満徹とギター」

2020年1月号 特集「武満徹 生誕90周年」

 

 

関連する動画です。編曲集に準拠するかは不明です。

 

どですかでん」(ギター二重奏ではなく、バンド演奏です。)

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「波の盆」(独奏)

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「今朝の秋」(独奏)

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「燃える秋」(独奏)

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夢千代日記」原曲です。

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伊豆の踊子」原曲です。

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「青幻記」原曲です。

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「黒い雨」原曲です。

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「ワルツ」(独奏)

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「 ◯と△のうた」(「不良少年」の旋律が引用された編曲です。)

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編曲集に未収録のもの

「三月のうた」

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「雪」

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武満徹の番外編が続きましたが、クラシックギターに戻って来たところで、ひと区切りとします。「不良少年」については、資料が集まったら記事にするつもりです。

 

 

専門書にチャレンジ! 第35回 武満徹が愛される理由 (ongakunotomo.co.jp)

 

ギタリスト・鈴木大介が武満の〈歌〉に潜む多様性やひらめき炙り出す新アルバム『武満徹 没後20年記念 森のなかで』 | Mikiki

 

武満徹に見出されたギタリスト、鈴木大介が渡辺香津美をゲストに“どですかでん”や委嘱新作をお披露目 | Mikiki

 

武満徹 SONGS ③(石川セリ)

番外編で、武満徹を取り上げています。

ギター用に編曲されることもある『SONGS』について。

 

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『翼〜武満徹ポップ・ソングス』石川セリ 日本コロムビア 1995年11月

このCDは、武満徹の生前最後のアルバムでした。

 

 

  1. 小さな空 (武満徹) 服部隆之・編曲
  2. 島へ (井澤満) コシミハル・編曲
  3. 明日ハ晴レカナ曇リカナ (武満徹) コシミハル・編曲
  4. 三月のうた (谷川俊太郎) 服部隆之・編曲
  5. 翼 (武満 徹) 服部隆之・編曲
  6. めぐり逢い (荒木一郎) 服部隆之・編曲
  7. 死んだ男の残したものは (谷川俊太郎) 服部隆之・編曲
  8. うたうだけ (谷川俊太郎) 羽田健太郎・編曲
  9. 〇と△の歌 (武満徹) 佐藤允彦(みつひこ)・編曲
10. 恋のかくれんぼ (谷川俊太郎) コシミハル・編曲
11. ワルツ〜「他人の顔」より (岩淵達治) 小林靖宏・編曲
12. 雪 (瀬木慎一) 小林靖宏・編曲
13. 見えないこども (谷川俊太郎) 佐藤允彦・編曲

  ( )は作詞者名

 

 

ライナーノートの武満徹の言葉を抜粋し、引用します。ひらがなで「うた」と書いています。

以前、偶々(たまたま)、石川セリの昔のアルバムを聴いて、自分が少しずつ、機(おり)にふれて書き溜めて来た小さな歌を、彼女にうたってもらって、なにか楽しいアルバムをつくってみたいな、と空想したことがあった。

思いがけなくも、私の夢は実現することになった。

大衆歌謡(ポピュラー・ソング)としてはいかにも不器用で面白みに欠けるうたかもしれないが、編曲者の方々の今日的感覚が、それぞれのうたの特徴を生かして、面白いものに仕上げてくださった。

きっと多くの方々が、なぜクラシックの、しかもこむずかしい現代音楽を書いている作曲家がこんなアルバムをつくったりするのか、不思議に思われたであろう。

「翼」といううたにも書いたように、私にとってこうした営為(いとなみ)は、「自由」への査証を得るためのもので、精神を固く閉ざされたものにせず、いつも柔軟で開かれたものにしておきたいという希(ねが)いに他ならない。

 

「そして、なによりも石川セリさん、楽しい仕事をご一緒できたことに感謝します。」

(4/16追記) 

 

編曲者の小林靖宏さんは、アコーディオン奏者の「coba」さんです。

「武満徹を探す三日間の旅@フェニーチェ堺」体験記: エンターテイメント日誌 (cocolog-nifty.com)

没後20年 武満徹の映画音楽|クラシック (hmv.co.jp) 

 

 

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『MI・YO・TA』石川セリ 1997/2006 日本コロムビア

  1. MI・YO・TA (谷川俊太郎) 服部隆之・編曲 
  2. 燃える秋 (五木寛之) コシミハル・編曲
  3. 翼 (武満徹) 服部隆之・編曲
  4. 死んだ男の残したものは (谷川俊太郎) 服部隆之・編曲
  5. 小さな空 (武満徹) 服部隆之・編曲


  6. MI・YO・TA  [伴奏]
  7. 燃える秋  [伴奏]
  8. 翼  [伴奏]
  9. 死んだ男の残したものは  [伴奏]
10. 小さな空  [伴奏]
  ( )は作詞者名

 

武満徹の没後に編まれたミニアルバム。伴奏カラオケが付いています。


「MI・YO・TA」の成り立ちについては、「SONGS①」(4/7)を参照して下さい。

 

 

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「MI・YO・TA」(谷川俊太郎・詞)

 

木漏れ日のきらめき 浴びて近づく 

人影のかなたに 青い空がある

思い出がほほえみ ときを消しても 

あの日々のよろこび もうかえってこない

残されたメロディー ひとり歌えば 

よみがえる語らい 今もあたたかい 

忘れられないから どんなことでも 

いつまでもあたらしい 今日の日のように

忘れられないから どんなことでも

いつまでもあたらしい 今日の日のように

 

  

武満徹『時間の園丁』 新潮社(1996年3月)から引用。

没後すぐの出版でした。 

本人の後書きがあるので、生前に編集されていた本です。(2021/4/13追記)

 

「忘れられた音楽の自発性」(抜粋)

 

石川セリのうたで、最近、一枚のCDをつくった。もちろんこれは、ふだんの私の音楽とはまるで違う、全曲、ポピュラーな、歌謡曲に類するものばかりである。

このアルバムのうたは、かならずしも(劇や映画のために)需(もと)められてかいたものだけではなく、私の生活(くらし)のなかから、ふと口をついて出てきたもので、きわめて素朴なものだが、私は、それをうたいたかった。

このCDに収められた私のうたは拙く、呟(つぶや)きのまま途絶えてしまうようなものもある。だが、作ったり装ったりよりは、未分化であり、私の飾らない勘定は、反(かえ)って、素直に表れている。こうしたものを公(おおや)けにしたのは、私が音楽というものを専門職にしてしまったことへの苛立ちの所為(せい)かもしれないが、かならずしも遊び心からだけではなく、ここには嘘もない。

(初出 毎日新聞・夕刊 1995年12月14日)

 

 

「現代音楽と〈わかりやすさ〉」(抜粋)(2021/4/10追記)

 

私は映画音楽を書いたり、ポップスの編曲をしたり また最近では少しでも息の長い(つまりそこに呼吸が通う)旋律を書きたいとおもうようになってきましたが、それは自分の音楽に歌(官能性)を回復したいと考えているからです。それはたんに耳触りの良い甘いメロディーを作曲するということとは違います。それは、言葉では言い表せない、また言葉ではおぎなえない人間感情を見つめ それを歌に表したいからに ほかなりません。

日本経済新聞社文化部からの取材質問状への回答。記事は、回答の一部を引用し、1994年1月30日に掲載。)

 

  

武満徹 SONGS ②(ショーロクラブ)

番外編で、武満徹を取り上げています。

ギター用に編曲されることもある『SONGS』について。

 

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弦楽トリオ「ショーロクラブ」と、7人のヴォーカリストの『SONGS』アルバムです。

上が 2011年盤、下が 2020年のコンプリート盤(13トラック追加、2枚組)。

 

本作の主人公のひとり作曲家・武満徹を「日本が世界に誇る現代音楽家」という肩書きで呼ぶのはふさわしくない。ブラジル音楽をベースに唯一無二の響きを奏でる弦楽トリオ「ショーロクラブ」の精緻にして伸びやかな演奏と、7人の歌手によって新たな生命を吹き込まれた歌を聴くにつけ、20世紀音楽の巨匠を親愛を込めて「ソングライター」と呼びたくなってしまう。バンドリン、ギター、コントラバスの涼やかな音色にのせて、アン・サリー沢知恵おおたか静流おおはた雄一、松平敬、松田美緒、tamamix が歌い継ぐ全15曲。異ジャンルで活動する美しき「ヴォーカリスタス」の声をまとって、タケミツ・メロディが 2011年の「今」を生きはじめる。かつてこれほどまでに、その歌が近しく感じられたことがあっただろうか。新たなスタンダードとなるべき、これからの「タケミツ・ソングブック」。

 

アマゾンの内容紹介(2011年盤)より

 

コンプリート盤は2枚組ですが、DISC①は 2011年盤と同内容。DISC②は未収録音源。

インストゥルメンタルの曲もありました。

 

 

さようなら (秋山邦晴)②

小さな部屋で (川路明)②

うたうだけ (谷川俊太郎)①

恋のかくれんぼ (谷川俊太郎)①

〇と△の歌[マルとサンカクのうた](武満徹)②

小さな空 (武満徹)①インスト、②

雪 (瀬木慎一)②、②インスト

雲に向かって起つ (谷川俊太郎)②

見えないこども (谷川俊太郎)①

素晴らしい悪女 (永田文夫)②

三月のうた (谷川俊太郎)①

死んだ男の残したものは (谷川俊太郎)①

ワルツ (岩淵達治)①

めぐり逢い (荒木一郎)①

燃える秋 (五木寛之)①、②

翼 (武満徹)①インスト、①

島へ (井沢満)①

明日ハ晴レカナ、曇リカナ (武満徹)①

ぽつねん (谷川俊太郎)②

昨日のしみ (谷川俊太郎)②

 

 『SONGS』未収録曲

MI・YO・TA (谷川俊太郎)①、①インスト

ヒロシマという名の少年 ②インスト

3たす3と3ひく3 ②

 

 

「うたうだけ」(谷川俊太郎

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「恋のかくれんぼ」(谷川俊太郎

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「小さな空」(武満徹

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「見えないこども」(谷川俊太郎

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「三月のうた」(谷川俊太郎

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「死んだ男の残したものは」(谷川俊太郎

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「ワルツ」(岩淵達治/ドイツ語)

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「めぐり逢い」(荒木一郎

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「翼」(武満徹

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「島へ」(井沢満

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「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」(武満徹

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「ぽつねん」(谷川俊太郎

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武満徹ソングブック』ショーロクラブ(編曲・演奏)について

ontomo-mag.com

mikiki.tokyo.jp

 

武満徹 ソングブック・コンサート」2013年 インタビュー 

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武満徹 SONGS ①

番外編で、武満徹を取り上げています。

ギター用に編曲されることもある『SONGS』について。

 

 

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『SONGS』

武満徹(作曲)、大竹伸朗(絵)、木下勝弘(ブックデザイン)

日本ショットの発行(2000年)。函、英文併記。135ページ、20曲。

 

武満徹(1930~1996)の没後の刊行です。

ピアノ伴奏譜、コードネームの付いたソングブック。

楽譜と画集が一緒になったような体裁で、その点で、評価が分かれています。

武満徹本人の編曲ではないものも含まれるようです。

 

 

さようなら (秋山邦晴
小さな部屋で (川路明)
うたうだけ (谷川俊太郎
恋のかくれんぼ (谷川俊太郎
〇と△の歌[マルとサンカクのうた](武満徹
小さな空 (武満徹
雪 (瀬木慎一/フランス語)
雲に向かって起つ (谷川俊太郎
見えないこども (谷川俊太郎
素晴らしい悪女 (永田文夫スペイン語
三月のうた (谷川俊太郎
死んだ男の残したものは (谷川俊太郎
ワルツ (岩淵達治/ドイツ語)
めぐり逢い (荒木一郎
燃える秋 (五木寛之
翼 (武満徹
島へ (井沢満
明日ハ晴レカナ、曇リカナ (武満徹
ぽつねん (谷川俊太郎
昨日のしみ (谷川俊太郎

  ( )は作詞者名 

歌詞(対訳)、作品ノート、大竹伸朗・作品リスト
略歴/武満徹大竹伸朗

 

SONGS/武満徹/SJ 2000 – ショット・ミュージック オンラインショップ (schottjapan.com)

 

「MI・YO・TA」 を加えて演奏されることがあります。

 

miyotown.com

themuse.exblog.jp

 

『現代ギター』2020年1月号に、『SONGS』の作品解説があります。音楽史研究家の戸ノ下達也さんによるものです。

 

 

「《ソングス》より16作品」中嶋俊晴(カウンターテナー)、岡本拓也(ギター)

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「さようなら」(秋山邦晴

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「小さな空」(武満徹

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MI・YO・TA (伊藤君子・Vo)

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ブックデザインを担当した、木下勝弘さんの言葉がありました。(4/16追記)

武満徹:SONGS « TDC TOKYO JPN 

武満徹 ラスト・ワルツ

番外編で武満徹を取り上げています。

ビートルズ」(3/4)に書いた『ラスト・ワルツ』を改めて記事にします。

 

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ラスト・ワルツ

『12の歌』に続くポップス編曲として、「ラスト・ワルツ」があります。

原曲は、レス・リード&バリー・メイソンの作品です。

ショット社の作品紹介では、1983年のものとなっています。

 

『現代ギター』2017年3月号に、鈴木一郎さんによる、編曲誕生の経緯の記事があります。1996年7月号にも出ていたかも知れません。

 

ある時、パリへ立ち寄られた武満さんとシャンゼリゼのピアノ・バー "ASCOTT"で朝の4時までお酒を飲んだことがありました。 「このカルバードスおいしいネ...ところで君に1曲何かプレゼントしようと思うが、何か希望はある?」とおっしゃったので、 「この店の閉店のテーマ曲は《ラストワルツ》なんですヨ、聴こえるでしょう...あの曲をギターで弾きたいナ」 「それじゃ明日、いえ今日の朝の11時にホテルへ取りに来なさい。書いておくから...。武満さんはホテルへ帰られ、この《ラスト・ワルツ》を 編曲されました。フロントに預けられた楽譜を手にしたのは約束通り朝の11時でした。

 

鈴木さんは、武満徹から「夢の縁へ」(ギターとオーケストラのための)を献呈され、初演を行なっています。1983年のリエージュ国際ギターフェスティバルが舞台でした。「ラスト・ワルツ」が編曲されたのは、この頃かも知れません。

 

 

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『 神様からの贈り物 ギターと旅とわたし』

『 神様からの贈り物 ギターと旅とわたし』神戸新聞総合出版センター(2017)

現代ギターの連載「ICHIROのギターの宝箱」(2016年4月号~2017年3月号)を基に編まれているとのこと。こちらにも、武満徹とのエピソードが出ているようです。

 

 

『現代ギター』誌の「新日本ギター史」(2006年4月号~2008年3月号)の中で、鈴木一郎さんが3回取り上げられています(2008年1月号~3月号)。

連載記事は、「ICHIROのギターの宝箱」(2016年4月号~2017年3月号)があります。

 

『現代ギター』(2008年1月号)に掲載された略歴は次の通り。

鈴木一郎

1948年5月生まれ。小原安正、セゴビアに師事。バルセロナとパリに居を置き40年間活動を続けてきた。その間、多くの名門オーケストラからソリストとして招かれ、多くのギター協奏曲を演奏。武満徹、林光など日本を代表する作曲家からギター協奏曲を捧げられ、世界初演も実現している。マクサンス・ラリュー、パトリック・ガロワ、レオ・ブローウェル、ウィーン弦楽四重奏団や、今世紀を代表したスペインのソプラノ歌手ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスとも、20年にわたる共演を重ねた。

1976年以来、パラモス音楽祭(スペイン)やバルセロナ・ギターフェスティバルの音楽監督を務め、その功績でスペイン国王より文化勲章を授与。1996年には天皇陛下の招きで、皇居吹上御所にて御前演奏も行った。タレガ国際ギターコンクール(スペイン)や、ハバナ国際ギターコンクール、モンテリマール(フランス)の国際二重奏コンクールの審査員も務めた。

 

 2007年に活動の拠点を日本に移されました。

 

クラシカルギター奏者 鈴木一郎 (main.jp)

 

 

「三月のうた」、「ラスト・ワルツ」(5:15~)

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「ブラジル風バッハ 第5番」 イザベル・レイ(ソプラノ)&鈴木一郎(G) 

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武満徹 ギターのための12の歌

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ギターのための12の歌(ショット版、1996)

武満徹ビートルズ編曲を取り上げました(3/4)。

他の曲も大切なので、改めて『12の歌』を記事にします。

関連ブログ等は、3/4の記事を参照して下さい。

 

『ギターのための12の歌』は、全音楽譜出版社から出版されました(1977年)。

現在は、日本ショット社から、1冊になったものが出ています(初版1996年)。

全音版に付いていた武満徹の言葉「編曲ノオト」は、ショット版にはありません。

 

編曲ノオト


ギターは、音色変化に富んだ美しい楽器です。
「小さなオーケストラ」とさえ言われるほどですが、機能の点でかなり不自由な面をもっています。しかし、そのために反ってこの楽器は作曲者(あるいは編曲者)に、特殊な愛着と好奇心を喚ぶのでしょう。
私はギターと言う楽器が好きです。そして、自身のよろこびのためにこの「12の歌」を編曲したのですが、だがそればかりではなかった。率直に言って、私は、現在のギター音楽のレパートリーの狭さに疑問を感じもし、また不満があります。クラシック・ギター(特に日本で)の世界が、「今日」との触れあいを失った閉ざされた状況にあるのは、限られたレパートリーを洗練された技巧で上手に演奏するだけの趣味に陥ったからだろうと思います。
音楽は個人の好みや趣味から、また慰めから出発するものでしょう。でも、その地点に停まるものであれば、音楽はけっして生きたものとはなりえません。
私は大それた野心を抱いてこの編曲を試みたわけではありませんが、ギタリストたちの固定した風景に、もうひとつの窓から別の風景を開きたいと考えたのです。
「12の歌」は、それぞれに高度な演奏技巧を必要としますが、それはまず なによりも柔軟な精神へのエチュードなのです。

 

武満徹

  

 

ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡)⑥D[D]

オーバー・ザ・レインボー(アーレン)[G]

サマータイムガーシュイン)[Am]

早春賦(中田章)[E]

失われた恋(コスマ)[Bm]

星の世界(コンバース)⑤G、⑥D[G]

シークレット・ラヴ(フェイン)[A]

ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D[G]

ミッシェル(レノン&マッカートニー)[Em?]

ヘイ・ジュード(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D[C]

エスタディ(レノン&マッカートニー)[Am]

インターナショナル(ドジェイテール)[A]

 

 

⑤⑥弦の変則チューニングは、オープンGチューニング(①D、⑤G、⑥D)に近いものです。

調性記号のついていない楽譜があります。臨時記号が多いので、読みづらいです。

 

 

えべけんさんの文章で、武満徹について書かれたものは、なさそうです。

『12の歌』(1977年)、『華麗なるギター・ソロ・アルバム』(①1982年頃、②1983年頃)と時期的に近いので、意識していたのでは、と思います。

 

どちらも、ポップスの名曲を取り上げているので、共通する曲目があります。

「虹の彼方に」①、「サマータイム」①(1984年版)、「ミッシェル」②、「ロンドンデリーの歌」②。

「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」、「ヘイ・ジュード」、「イエスタディ」は、 えべけんさんのビートルズ曲集に収録されています。

 

 

「ロンドンデリーの歌」(アイルランド民謡)⑥D

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オーバー・ザ・レインボー」(アーレン)

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サマータイム」(ガーシュイン

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「早春賦」(中田章)

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「失われた恋」(コスマ)

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「星の世界」(コンバース)⑤G、⑥D

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「シークレット・ラヴ」(フェイン)

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「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D

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「ミッシェル」(レノン&マッカートニー)

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「ヘイ・ジュード」(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D

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「イエスタディ」(レノン&マッカートニー)

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「インターナショナル」(ドジェイテール)

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ISBN4-89066-395-9

 

六弦音曲覗機関(ろくげんおんぎょくのぞきのからくり) 武満徹「ギターのための12の歌」 (fc2.com)

ビートルズ まとめ

番外編として、様々なビートルズ編曲を取り上げました(3/4~3/12)。

同じ題材で比較してみれば、えべけんさんの編曲の特徴が分かるのではないか、という意図でした。

 

しかし筆者は、編曲を音楽的に分析することができません。

そこで、えべけんさんの、編曲についての記事を、抜粋して引用します。

「コンポーザー入モン(11)」から、「アレンジについて」です。

『現代ギター』1989年2月号。「80年代の記事・連載 」(5/6)で概要を紹介。

 

  

「アレンジについて」 江部流アレンジ 3つの要素(調・リズム・装飾)

 

調(Key)の設定(メロディーの音域)

(これは)ベース音が、まんべんなく使える調という風に考えられます。

ギターという楽器は、単旋律楽器として考えると大変広い音域をもっています。が、メロディーも伴奏も同時にやってしまう独奏用とかんがえると、かなり限られた音域しか与えることができません。

しかも無理なくメロディーが弾けて、和声的にも満足させられるという条件付きですから、これはもう試行錯誤、パズルの世界です。

調を決定する際のチェックポイントとしては

①開放弦がたくさん使えるかどうか(メロディー、ベースとも)

②ベースの動きがスムーズかどうか

③和声的に充分満足させられるかどうか(特にコードの第3音を入れられるか)

④無理な指づかいにならないかどうか

などが考えられます。が、とにかく、あまり固定した調にとらわれず、いろんな調に移調して試してみることが大切です。何しろパズルのようなものですから、意外な調を発見できることもあります。

 

リズムの決定(拍子も含む)

(これは)アレンジの中でも、最も面白い部分です。「禁じられた遊び」をサンバにしたり、スウィングにしたり、好き勝手なことが考えられるわけですから、こんなに楽しいことはありません。しかし、まかり間違うと下品になってしまうという側面も。特に色もののリズム(サンバ・ボサノバ・タンゴなどのラテン系のもの)を使う場合は要注意です。

(拍子を変えることで)新たな展開が生まれてくることもあります。これは既成曲をアレンジするときの発想の転換に役立ちます。ただし、変化させることで新しい価値を創造するのだという、しっかりした意識を持って。

 

イントロ・エンディング・間奏・その他 オカズ(装飾)の創作

(これは)曲をまとめたり装飾したりするのに必要な要素です。

イントロは、(必要ない場合もありますが)主に曲中のフレーズ(サビの一節)などが使われたりします。

エンディングは、かなり重要です。イントロを考える前に、時間をかけて充分練り上げてください。大切なことは、終止としての性格を、はっきり持たせること。同時に、新鮮な創意工夫が大きなポイントになります(イントロも同じ)。

 

   

個人的な感想ですが、えべけんさんの編曲は、よく練られたものだと感じます。

和音の響きが良く、メロディーもベースも良く鳴り、無理なく演奏できるものです(簡単ではないのですが)。

えべけんさんの編曲は、試行錯誤の結果として生まれたものだったのでしょう。

 

 

「ミッシェル」竹内永和

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「ミッシェル」武満徹

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「ミッシェル」江部賢一

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「イエスタデイ」武満徹

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「イエスタデイ」江部賢一

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「フール・オン・ザ・ヒル」セルシェル

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「フール・オン・ザ・ヒル」江部賢一

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