以前、武満徹のビートルズ編曲を取り上げました(2021/3/4)。
他の曲も大切なので、改めて『12の歌』を記事にします。
関連ブログ等は、3/4の記事を参照して下さい。
『ギターのための12の歌』は、全音楽譜出版社から出版されました(1977年)。
現在は、日本ショット社から、1冊になったものが出ています(初版1996年)。
ISBN4-89066-395-9
全音版に付いていた武満徹の言葉「編曲ノオト」は、ショット版にはありません。
編曲ノオト
ギターは、音色変化に富んだ美しい楽器です。
「小さなオーケストラ」とさえ言われるほどですが、機能の点でかなり不自由な面をもっています。しかし、そのために反ってこの楽器は作曲者(あるいは編曲者)に、特殊な愛着と好奇心を喚ぶのでしょう。
私はギターと言う楽器が好きです。そして、自身のよろこびのためにこの「12の歌」を編曲したのですが、だがそればかりではなかった。率直に言って、私は、現在のギター音楽のレパートリーの狭さに疑問を感じもし、また不満があります。クラシック・ギター(特に日本で)の世界が、「今日」との触れあいを失った閉ざされた状況にあるのは、限られたレパートリーを洗練された技巧で上手に演奏するだけの趣味に陥ったからだろうと思います。
音楽は個人の好みや趣味から、また慰めから出発するものでしょう。でも、その地点に停まるものであれば、音楽はけっして生きたものとはなりえません。
私は大それた野心を抱いてこの編曲を試みたわけではありませんが、ギタリストたちの固定した風景に、もうひとつの窓から別の風景を開きたいと考えたのです。
「12の歌」は、それぞれに高度な演奏技巧を必要としますが、それはまず なによりも柔軟な精神へのエチュードなのです。
ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡)⑥D[D]
オーバー・ザ・レインボー(アーレン)[G]
早春賦(中田章)[E]
失われた恋(コスマ)[Bm]
星の世界(コンバース)⑤G、⑥D[G]
シークレット・ラヴ(フェイン)[A]
ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D[G]
ミッシェル(レノン&マッカートニー)[Em?]
ヘイ・ジュード(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D[C]
イエスタディ(レノン&マッカートニー)[Am]
インターナショナル(ドジェイテール)[A]
⑤⑥弦の変則チューニングは、オープンGチューニング(①D、⑤G、⑥D)に近いものです。
調性記号のついていない楽譜があります。臨時記号が多いので、読みづらいです。
えべけんさんの文章で、武満徹について書かれたものは、なさそうです。
『12の歌』(1977年)、『華麗なるギター・ソロ・アルバム』(①1982年頃、②1983年頃)と時期的に近いので、意識していたのでは、と思います。
どちらも、ポップスの名曲を取り上げているので、共通する曲目があります。
「虹の彼方に」①、「サマータイム」①(1984年版)、「ミッシェル」②、「ロンドンデリーの歌」②。
「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」、「ヘイ・ジュード」、「イエスタディ」は、 えべけんさんのビートルズ曲集に収録されています。
「ロンドンデリーの歌」(アイルランド民謡)⑥D(2021/5/16追記)
「ロンドンデリーの歌」(アイルランド民謡)⑥D
「オーバー・ザ・レインボー」(アーレン)
「早春賦」(中田章)
「失われた恋」(コスマ)
「星の世界」(コンバース)⑤G、⑥D
「シークレット・ラヴ」(フェイン)
「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D
「ミッシェル」(レノン&マッカートニー)
「ヘイ・ジュード」(レノン&マッカートニー)⑤G、⑥D
「イエスタディ」(レノン&マッカートニー)
「インターナショナル」(ドジェイテール)(2023/11/9追記)
「インターナショナル」(ドジェイテール)
六弦音曲覗機関(ろくげんおんぎょくのぞきのからくり) 武満徹「ギターのための12の歌」 (fc2.com)