番外編で武満徹を取り上げています。
「ビートルズ」(3/4)に書いた『ラスト・ワルツ』を改めて記事にします。
『12の歌』に続くポップス編曲として、「ラスト・ワルツ」があります。
原曲は、レス・リード&バリー・メイソンの作品です。
ショット社の作品紹介では、1983年のものとなっています。
『現代ギター』2017年3月号に、鈴木一郎さんによる、編曲誕生の経緯の記事があります。1996年7月号にも出ていたかも知れません。
ある時、パリへ立ち寄られた武満さんとシャンゼリゼのピアノ・バー "ASCOTT"で朝の4時までお酒を飲んだことがありました。 「このカルバードスおいしいネ...ところで君に1曲何かプレゼントしようと思うが、何か希望はある?」とおっしゃったので、 「この店の閉店のテーマ曲は《ラストワルツ》なんですヨ、聴こえるでしょう...あの曲をギターで弾きたいナ」 「それじゃ明日、いえ今日の朝の11時にホテルへ取りに来なさい。書いておくから...。武満さんはホテルへ帰られ、この《ラスト・ワルツ》を 編曲されました。フロントに預けられた楽譜を手にしたのは約束通り朝の11時でした。
鈴木さんは、武満徹から「夢の縁へ」(ギターとオーケストラのための)を献呈され、初演を行なっています。1983年のリエージュ国際ギターフェスティバルが舞台でした。「ラスト・ワルツ」が編曲されたのは、この頃かも知れません。
『 神様からの贈り物 ギターと旅とわたし』神戸新聞総合出版センター(2017)
現代ギターの連載「ICHIROのギターの宝箱」(2016年4月号~2017年3月号)を基に編まれているとのこと。こちらにも、武満徹とのエピソードが出ているようです。
『現代ギター』誌の「新日本ギター史」(2006年4月号~2008年3月号)の中で、鈴木一郎さんが3回取り上げられています(2008年1月号~3月号)。
連載記事は、「ICHIROのギターの宝箱」(2016年4月号~2017年3月号)があります。
『現代ギター』(2008年1月号)に掲載された略歴は次の通り。
鈴木一郎
1948年5月生まれ。小原安正、セゴビアに師事。バルセロナとパリに居を置き40年間活動を続けてきた。その間、多くの名門オーケストラからソリストとして招かれ、多くのギター協奏曲を演奏。武満徹、林光など日本を代表する作曲家からギター協奏曲を捧げられ、世界初演も実現している。マクサンス・ラリュー、パトリック・ガロワ、レオ・ブローウェル、ウィーン弦楽四重奏団や、今世紀を代表したスペインのソプラノ歌手ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスとも、20年にわたる共演を重ねた。
1976年以来、パラモス音楽祭(スペイン)やバルセロナ・ギターフェスティバルの音楽監督を務め、その功績でスペイン国王より文化勲章を授与。1996年には天皇陛下の招きで、皇居吹上御所にて御前演奏も行った。タレガ国際ギターコンクール(スペイン)や、ハバナ国際ギターコンクール、モンテリマール(フランス)の国際二重奏コンクールの審査員も務めた。
2007年に活動の拠点を日本に移されました。
「三月のうた」、「ラスト・ワルツ」(5:15~)
「ブラジル風バッハ 第5番」 イザベル・レイ(ソプラノ)&鈴木一郎(G)