えべけんさん本人が、アレンジについて書いたことがあります。『永遠のスタンダード・ミュージック』の「はじめに」です。引用します(句読点に手を入れました)。4/4に記事。
選曲は、ジャズ・ポピュラー全般からスタンダードなもの、ギター・ソロにした場合、効果的なものをとりあげてアレンジしてあります。
現在、映画音楽や、易しいポピュラー曲をとりあげて、作られた曲集は多く見られますが、いずれも初・中級程度の内容で、演奏者の立場からは少々食い足りない部分(選曲も含めて)があるのは否めません。
今回、日音楽譜出版社の協力を得て、アレンジ・選曲共に、納得の行く仕事をさせてもらう事ができました(難し過ぎるという意見もありましたが)。
アレンジの内容に関しては、筆者の音楽的知識とギターの知識を、フルに組み合わせて書いたつもりですが、ポピュラー音楽は譜面が全てではありません。全ての曲に関して、改良・発展の余地が多く残されています。
クラシックギターの楽譜として成立する、ということを方針とされていたようです。
そのため、オープンチューニングを用いた編曲は、ありません。
ジョン・ウィリアムズの「エンタテイナー」の採譜(⑥C、⑤G)では、
「変則チューニングは緊急避難的な色合いも強いので、普段あまり使いたくはないのだ
が」との記述があります(『現代ギター』1997年4月号、6/3記事)。
⑥Dは好まれていたようで、よく使われています。
同じ曲を別編曲(キーや曲調の違い)で発表することが多いです。難易度の違いでも、別の譜面になることがあります。
例として、「レット・イット・ゴー」のソロ編曲は、7種類あります。加えて、デュオが1種類あります(10/26に記事)。
スタンダードナンバーは、編曲の種類が多いです。
同じ曲を他の出版社から出すとき、手を加えることが多いです。仁義でしょうか。
例えば、「ひまわり」(日音→ヤマハ)、ジブリ(ドレミ→ヤマハ)。
音楽的な分析は、専門の方に任せます。
個人的には、響きの豊かなことが、印象に強いです。洒落たコードを使っていることに加えて、運指を考慮した、編曲の巧みさによるものでしょう。
また、ベースがしっかりしていることも特徴です。
重奏も好まれていたようです。思った以上に、多くの譜面がありました。
譜面の美しさも、えべけんさんならでは。
「ギターに編曲できるものなら、何でも」という、題材の多彩なところも、特筆すべきでしょう。