佐藤弘和さん(1966~2016)の書評を見つけたので、引用します。
最近も改訂版が作られた『こころやすらぐソロ・ギター』の、最初のものについて。
『現代ギター』2001年6月号・9月号の新刊案内です。
緑字は、ブログ筆者による補足です。
★は1~5まで。筆者(佐藤弘和)の独断による、おすすめ度。ABCのアルファベットは難易度を表わし、A=初級、B=中級、C=上級が目安です。
『現代ギター』(2001年6月号)
〈ヤマハ〉江部賢一、津田昭治、日渡奈那編/こころやすらぐソロ・ギター Vol.1
(収録作を列挙)リラクゼーションに効果ありと思われるレパートリーが全20曲。比較的やさしい編曲で収められています。ただ、クラシック・ギター自体の音色がすでに癒しとかリラクゼーションに結び付けられているので、もっとギターらしいレパートリーの発掘などのアピールが欲しいところ。例えば上記(収録作)などの作曲家のオリジナル・ギター曲ができれば、すごい!⋯⋯のでしょうけど。演奏も編曲者が分担しています。
A~B★★★
(2020/7/8記事)
『現代ギター』(2001年9月号)
〈ヤマハ〉江部賢一、津田昭治、日渡奈那編/こころやすらぐソロ・ギター Vol.2
6月号で紹介したばかりの曲集の第2弾。リラクゼーションに効果的と思われるレパートリーを集めたもので、(収録作を列挙)全19曲。編曲は Vol.1よりも若干むずかしくなっている分、充実しているような気がします。バッハの2曲のプレリュードは、前者「無伴奏チェロ組曲第1番」がイ長調、後者「平均律クラヴィーア曲集第1巻1曲」がト長調と珍しい調が選ばれ意欲的。マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」やヘンデル「ラルゴ」は演奏会でも使えそうな、しっかりとした編曲です。
このような編曲では、ついつい力が入るとむずかしくなってしまいますが、(仕方がないのです⋯⋯)、(作るなら)いいものをという編曲者の意気込みが感じられます。これから、単にやさしくとか中途半端に弾きやすいというよりは、編曲の定番(優れた編曲作品と認められるもの)を作り出す意識が必要とされるのではないでしょうか。
ただ、タレガ作品(これはオリジナルのアルペジョ練習曲。他の曲集では「バレンシアの空」のタイトルも)や、マイヤーズの「カヴァティーナ」(2小節前奏付きですが、既成ののもと同じ)は、特に編曲ではないと思うのですが⋯⋯。
B~C★★★
(2020/7/9記事)
「編曲の定番(優れた編曲作品と認められるもの)を作り出す意識が必要とされるのでは」の一節は、慧眼だと思います。
佐藤弘和さんは、編曲者としても活躍されました。
えべけんさんの代表作「ギター・ソロ・コレクション」(シンコー)のシリーズでも、3冊を担当されていました(永島志基さんとの共著)。
この記事に合わせて、『日本の詩情』佐藤弘和・永島志基/編曲(2020/5/23記事)に動画を追加しました。