江部賢一ファンクラブ(私設)

ギターの名編曲者、江部賢一さんの仕事を、記録します。

16ビートのブーレ

えべけんさんの『現代ギター』誌での初連載は、「初級レッスン室」(1987年2月号~8月号)でした(2020/5/6記事)。

その中に「16ビートのブーレ」(1987年7月号)という楽譜が掲載されていたのですが、よく分からないままになっていました。

フェイスブックグループ「ギタリスト江部賢一作品を弾くギタリストの会」に「ブーレ」の目撃談が寄せられ、また原曲の音源も見付けられたため、調べてみました。

 


フェイスブックの投稿は、次のような内容です。

許可を頂いたので、抜粋を引用します。投稿主の鈴木さん、有難うございました。

 

40年ほど前、当時習っていた諫早俊夫先生宅での飲み会で、遊びに来た当時駆け出し?の江部さんがボサノバ風BWV996のブーレを演奏、目の当たりにしてぶっ飛んだ記憶があります。

聴いたのは1982年頃です。

当時諫早先生は確か小田急線沿線のヤマハ音楽教室でも講師をされていて、江部さんも同じ教室で教えてらっしゃると諫早先生がおっしゃっていました。
諫早先生宅の飲み会ですが、正確に言うと言うと定期的に行っていたカレーパーティです。

 

諫早俊夫先生は、世田谷区桜上水にお住まいだったようです。2014年に66歳で亡くなられたそうです。

1982年頃は、えべけんさんの『華麗なる~』が出版された時期です。

小田急線沿線のヤマハ音楽教室は、どこでしょうか。

 

諫早先生に関して、『現代ギター』(1978年12月号)に「諫早俊夫・佳子二重奏演奏会」のグラビアがあるようです。(2022/8/11追記)

 

 

さて、このときの「ブーレ」は、「16ビートのブーレ」だったのでしょうか?

『現代ギター』の記事を見てみます。

 

 

「初級レッスン室」は、ポピュラー音楽のリズムに関する講座でした。

「16ビートのブーレ」が掲載された第5回(1987年7月号)は、「フェイクについて」。

フェイクというのは、もっぱら民謡や映画音楽などのシンプルなメロディーを、ジャズ化・ポップス化するために、さまざまな手法を使って崩していくことを言います。

インプロヴィゼーション[アドリブ]が原曲のメロディーを離れて自由にメロディーを作っていくのに対し、フェイクは元のメロディーラインを残しながら装飾したり、リズムに変化を加えたりして、その曲に相応しい形に作り直すという特徴があります。

譜例として、「枯葉」のメロディーを、スウィングとボサノバにした一節を掲載。

最期に面白いネタを紹介しましょう。皆さんよく知っているバッハのブーレですが、何と16ビートになっています。

これはデイブ・バレンティンというフュージョン系のフルーティストのアルバムに入っていたもので、デイブ・グルーシンのアレンジだったと思います。もちろんレコードではバンド演奏で聴かれますが、ギター・ソロも可能なので取り上げてみました。テンポは原曲よりも遅めにした方がよいでしょう。

 

掲載譜にタイトルは付いていませんでした。このタイトルが出ていたのは「添付楽譜インデックス」です。

原曲は、デイブ・バレンティンの『レジェンズ』に収録されています。このレコードのリリースは1978年。

 

Dave Valentin (1978) Legends

Dave Valentine,Dave Grusine,Steve Gadd,Anthony Jackson,Francisco Centeno,Rubens Bassini,Michael Vinas
Arranged and Conducted  by Dave Grusin
Recorded by Larry Rosen
Produced by Dave Grisin and Larry Rosen for Grusin/Rosen Pruductions

 

アルバムの音源です。「ブーレ」は2曲目(4:49~)。

youtu.be

 

掲載譜を引用します。8段あるうちの2段です。

「16ビートのブーレ」 『現代ギター』(1987年7月号)

 

こちらは、通常のクラシックギターの「ブーレ」です。

リュート組曲第1番よりブーレ」(バッハ)

youtu.be

 

原曲のレコードのリリースが、1978年。えべけんさんの「ブーレ」の演奏が目撃されたのが、1982年頃。「16ビートのブーレ」の掲載が、1987年。

それぞれ間が空いているので、同一のものかは分かりません。

えべけんさんが、様々な音源を聴いて、レパートリーを広げていたのは確かです。

 

 

 

デイヴ・グルーシンDave Grusin, 1934年6月26日 - )はアメリコロラド州リトルトン出身のジャズ・フュージョンアダルト・コンテンポラリー及び映画音楽を代表するピアニスト、編曲家、作曲家、プロデューサー。


デイヴ・ヴァレンティン(Dave Valentin、1952年4月29日 - 2017年3月8日)は、アメリカ・ニューヨーク出身のジャズ・フルート奏者。デイヴ・グルーシンおよびラリー・ローゼンに見出され、設立されたばかりの「GRP(Grusin/Rosen Productions)」レーベルの最初のアーティストとして契約した。以降、このレーベルのポピュラーな魅力となって16枚のアルバムをリリース、ポップス、R&B、ブラジル音楽などからの影響をラテンやスムーズ・ジャズと組み合わせて、滑らかで理解しやすいクロスオーヴァー・ジャズのかたちを創りあげ、市場では最も売れるラテン・ジャズ・ミュージシャンとなった。

ウィキペディアより抜粋引用)