『現代ギター』誌の連載「えべけんのクロスオーバーギター研究」(1999年4月号~2003年3月号)で、毎回、CDの紹介がありました。
「筆者が推薦するギターの名盤を少しずつだが紹介していこう」(1999年4月号)
えべけんさんの好みや、興味の方向が分かる資料かも知れません。
半年分ずつ、取り上げてみます。今回は、2002年度の前半のものです。
記事では、「筆者のお気に入りCD紹介」となっています。
コメントは、要約しています。
『ラフマニノフ&チャイコフスキー/ピアノ協奏曲』(リヒテル/ピアノ)
POCG-3590
筆者はジャズ、ボサ・ノヴァも好きだが、ラフマニノフの大ファンでもあるのだ。
いずれギター版をと思っている曲が、いくつかある。
ポピュラーでなくて申し訳ないが、筆者一押しのラフマニノフを1枚。アシュケナージ盤もいいが、こっちの方がおどろおどろしくて好きだ。LP時代から何回も買い換えている。(2002年3月号)
この回の編曲は、「ある日どこかで」(ジョン・バリー)でした。同名の映画の中で、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」が使われているそうです。
「いずれギター版を」と書かれていましたが、実現したものがあります。
『クラシック・ギターで弾く のだめカンタービレ』(2020/10/1記事)
「ピアノ協奏曲第2番 第1楽章より」(ラフマニノフ)
『現代ギター(2007年2月号)』(2020/9/13記事)
「ピアノ協奏曲第2番 第3楽章より」(ラフマニノフ)
「ピアノ協奏曲第2番」リヒテルのピアノ演奏
『ア・カペラ』(ザ・シンガーズ・アンリミテッド) ユニバーサル
筆者は、けっこう歌うのが好きだ。下手くそなんだが、2人以上で声を出してハモるのが何ともたまらない。高校時代にはギターの相棒と、ビートルズの「イフ・アイ・フェル」をよく歌ったものである。
ビーチ・ボーイズや、サイモン&ガーファンクルのハモりも好きだったが、決定的だったのは、このザ・シンガーズ・アンリミテッド。アカペラとは、こういうことを言うのだ。
オスカー・ピーターソンとの『イン・チューン』も素晴らしいアルバムだ。
(2002年5月号)
『ア・カペラ』
「セサミ・ストリート」 『イン・チューン』より
『亡き王女のためのパヴァーヌ』(ラヴェル管弦楽曲集 第4集)
クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団 東芝EMI TOCE-59038
ラヴェルの作品はフランス的なエスプリと色彩感に満ちたもので、筆者は大好きで昔からよく聴いていた。
しかし、ギターにアレンジされたものは少ない。彼の作品は、いずれも近代的な和声を用いており、非常にダイナミックな展開を見せるので、ギターへのアレンジはとても難しい。
ラヴェルの演奏では、アンセルメ&スイス・ロマンド・オーケストラ盤と、このクリュイタンス盤をよく聴いている。フランスの香りという点では他の追随を許さない名盤。特に「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、もう絶品。(2002年6月号)
この回の編曲は、ラヴェルの「メヌエット(クープランの墓より)」[二重奏]でした。Jポッパーズのコンサートでは四重奏でした。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団
えべけんさんの編曲ではありませんが、「クープランの墓」です。
『マリア・エレーナ』(ロス・インディオス・タバハラス)BMG COL-2705
今回は、懐かしいタバハラスのアルバムを。初期のLPアルバム2枚をカップリングしたものだ。「マリア・エレーナ」や「スターダスト」の名演が聴かれる。「オールウェイズ・イン・マイ・ハート」も美しい。
残念ながら、アルバム『花のワルツ』はCD化されていないようだ。イージーリスニングとは、ひと味違っている。クラシックの曲をすさまじいテクニックで演奏しているのだ。(2002年7月号)
「スターダスト」
紹介文の『花のワルツ』の曲目は、次の通り。
『花のワルツ』(ロス・インディオス・タバハラス)SHP-5541 LP(1966)
[SIDE 1]
花のワルツ
嬰ハ短調のワルツ
アランブラの思い出
[SIDE 2]
熊蜂は飛ぶ
小犬のワルツ
フーガ第3番
火祭りの踊り
幻想即興曲
『ヴァーチュオーゾ Vol.3』ジョー・パス
VIRTUOSO Vol.3 / Joe Pass ユニバーサル
久しぶりにジャズのアルバムを1枚。ジャズ・ギター界のヴィルトーゾ、故ジョー・パスのシリーズ3作目を紹介しよう。
このシリーズはバンド・アンサンブルの中のジャズ・ギターではなく、ギター1本による無伴奏ソロを追求した画期的なアルバムだ。クラシックではソロはあたりまえだが、ジャズ・ギターでは極めて珍しい。
ピックも多用した1作目の評価が非常に高いが、指弾きで通しているこの内省的な3作目が筆者は大好きである。(2002年8月号)
「Nina's Blues」
『Wave/ウェーブ』アントニオ・カルロス・ジョビン
夏はボサ・ノヴァ。ジョビンがCTI時代に残した傑作だ。クールで心地よいサウンドが疲れた身体を癒してくれる。これこそが究極のヒーリング・ミュージック!おなじみの曲がずらり。ギターを弾いているのはジョビン本人。(2002年9月号)
「Wave」