江部賢一ファンクラブ(私設)

ギターの名編曲者、江部賢一さんの仕事を、記録します。

ギターの名盤(えべけんさん推薦)2000年度 後半

『現代ギター』誌の連載「えべけんのクロスオーバーギター研究」(1999年4月号~2003年3月号)で、毎回、CDの紹介がありました。

 

「筆者が推薦するギターの名盤を少しずつだが紹介していこう」(1999年4月号)

 

えべけんさんの好みや、興味の方向が分かる資料かも知れません。

半年分ずつ、取り上げてみます。今回は、2000年度の後半のものです。

記事では、「筆者のお気に入りCD紹介」となっています。

コメントは、要約しています。

 

 

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『ウィズ・ザ・ビートルズ

『ウィズ・ザ・ビートルズ/With The Beatles』(ビートルズ) EMI

この回の編曲は、このアルバムから「ティル・ゼア・ワズ・ユー」でした。

言わずと知れたビートルズもセカンド・アルバムである。なにしろ60年代の録音なので、モノラルであり、かつあまりハイファイでもないのだが、音楽に勢いがあるので、そんなことは吹っ飛んでしまう。

大ヒットした曲もいいが、「イット・ウォント・ビー・ロング」や「ティル・ゼア・ワズ・ユー」に聴かれる微妙なコード進行やテンションコードの響きは、いったいどうなっているんだろうと思ってしまう。(2000年10月号)

「ティル・ゼア・ワズ・ユー」原曲

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『愛ゆえに~10cc ベスト』

『愛ゆえに~10cc ベスト/The Things We Do For Love』(10cc )ユニバーサル

この回の編曲は、このアルバムから「アイム・ノット・イン・ラヴ」でした。

TVをつけていると結構懐かしい曲がCMなどに使われている。10cc は特に熱烈なファンだったわけではないが、「アイム・ノット・イン・ラヴ」が流れた途端、自分の記憶の中にこの曲が格納されていたのを思い出した。

作品は知的でウィットとユーモアにあふれるものばかりだった。まだシンセサイザーが普及していない頃なわけだが、「ギズモ」というアタッチメントを開発し、積極的に作品に採り入れていたのは有名。(2000年11月号)

「アイム・ノット・イン・ラヴ」原曲

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『グレイテスト・ヒッツ・コレクション』

『グレイテスト・ヒッツ・コレクション』(スティーヴィー・ワンダー

この回の編曲は「ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」でした。

ティーヴィーのアルバムはあまりに多すぎて何を紹介したらいいのか分からない。こんな時はやっぱりベスト盤でしょう。

バラード・コレクションもいいが、彼の全貌を知るにはこちらの方がいいかも。

ティーヴィーは、どの曲もエネルギッシュで聴く者にパワーを与えてくれるような気がする。オススメ。(2000年12月号)

「ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」原曲

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「ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」えべけんさんの編曲

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オペラ座の夜』

オペラ座の夜』(クイーン)EMI

この回の編曲は、デュエットの「ボヘミアン・ラプソディ」でした。

最高傑作といわれる「オペラ座の夜」は、75年に発表されたクイーン4作目のアルバム。「ボヘミアン・ラプソディ」が本当にカッコいい。クイーンの美学が花開いたコンセプトアルバムだ。できれば1曲目からずっと聴いてもらいたい。

クイーン初心者は、黄金期のヒット曲を集めたベスト・アルバムもいいだろう。「ボヘミアン・ラプソディ」の入った「グレイテスト・ヒッツ」がお勧め。(2001年1月号)

ボヘミアン・ラプソディ」原曲

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展覧会の絵

展覧会の絵』(EL&P)ビクター

この回の編曲は、「展覧会の絵」から「賢人」(EL&P)でした。

EL&Pは、70年代に大活躍したプログレッシヴ・ロック界を代表するバンドだ。

キーボード・ギター・ドラムの、3人だけのユニットだ。3人とは言え、当時最先端だったシンセサイザーを駆使した音楽は、アヴァンギャルドなクラシック系の電子音楽的要素も多く盛り込まれており、スケールの大きいライヴ・パフォーマンスは圧倒的であり、過激だった。

 EL&Pは数多くのアルバムを作っているが、筆者としてはやはり「展覧会の絵」と「恐怖の頭脳改革」かな。

展覧会の絵」は、「プロムナード」に歌詞が付けられヴォーカル・ナンバーになっているところや、「バーバ・ヤーガ」の大胆なアレンジがおもしろい。「古い城」などは、ぜんぜん違う曲になっている。(2001年2月号)

「プロムナード」「賢人」原曲

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『チューブラー・ベルズ』

『チューブラー・ベルズ』(マイク・オールドフィールド)Virgin

この回の編曲は、デュエットの「チューブラー・ベルズ」でした。

もはや古典的とも言える、プログレの代表曲。

1973年に「Tubular Bells」のアルバムタイトルで発表された。

冒頭のピアノとハープシコードによる変拍子のパターンがとても印象的。曲全体は、ミニマル・ミュージックの手法を取り入れた、精緻に組み立てられた音楽。「恐怖」とはあまり関係ない、むしろ安らぎを与えてくれるヒーリング・ミュージックに近いものだ。

 マイク・オールドフィールドを聴くには、まずこれ。「チューブラー・ベルズ」もシリーズ化されているので実は何作も出ているが、デビュー作は格別だ。ホラー映画ファンにはこちら(『ザ・エクソシストサウンドトラック)。(2001年3月号)

 「チューブラー・ベルズ」 サウンドトラック

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