ギタードリーム(Guitar dream) No. 19(2009年10-11月号)
ホマドリーム発行(2009年10月6日)
ISBN978-4-86247-719-4
第19号の目次 (黒の太字は楽譜のある曲)
Interview & Talk & Report
○ 巻頭ロング・インタビュー(菅原 潤)/佐藤弘和
○ 佐藤弘和 ギター作品表
○ 新・話題のアーティスト⑧(菅原 潤)/ジョン・ドーン(ハープギタリスト)
○「今日も元気、ギターが楽しい」⑲(マリアデュオ)/中島晴美
Great Guitarist Composers
○ 森に夢見る⑲[パラグアイの“ ギターの詩人” アグスティン・バリオスの生涯]
(リチャード・ストーヴァー)
○ フェルナンド・ソルの生涯⑲[最新データによる](ブライアン・ジェファリ)
Regular Articles
○ クール・アレンジメンツ⑲(竹内永和)
「想いの届く日」(ガルデル)、「歌の翼に」(メンデルスゾーン)⑥D
○ 新マエストロ養成講座⑥[芸術性を高める](長谷川郁夫)
「エチュード第3番op.60-3」(カルカッシ)
○ 12の練習曲プロジェクト⑦(佐藤弘和)エチュード第7番
○ ギターのツボ⑲[テクニック再考](毛塚功一)[スケールその1]
○ 非和声音のしくみ(二橋潤一)⑥[最終回]
○ ヴィラ=ロボス作品の技巧分析と解釈③(アベル・カルレバーロ)
○ 役に立たないギターの歴史⑪(菅原 潤)/2種類の魔笛の主題による変奏曲
○ ギタリスト紹介⑲/小関佳宏 (CDに「オレンジ」収録)
○ サークル紹介⑲/大分ギターアンサンブルAQUA
Music & Notes
○ ギターグルメのためのレパートリー〈今月の楽譜〉
「イ長調の3つの小品」(佐藤弘和)1. マーチ、2. エチュード、3. ワルツ
「魔笛の主題による変奏曲op.9」(ソル)[メッソニエ初版]
「魔笛の主題による変奏曲op.9」(ソル)[メッソニエ改訂版]
「アルポリールのための葬送行進曲」(ソル)ジョン・ドーン編曲[6弦用]
「24のデュエットop.27より第22番」(カルッリ)[二重奏]
「ドイツ民謡による幻想曲」(メルツ)[二重奏]
「ヘンデルの主題によるシャコンヌ」(二橋潤一)[三重奏]1/3(続く)
「組曲第2番より行進曲」(ホルスト)壺井一歩・編曲[四重奏]
「『サザエさん』主題歌」(筒美京平)平倉信行・編曲[四重奏]
Information
話題のCD(真岡潤)、全国ギター教室・サークルガイド、付録CD収録曲
CD
掲載楽譜の演奏に加えて、下記の4曲を収録。
「古風な舞曲とアリア第3組曲よりイタリアーナ」(レスピーギ)浪江慎二・編曲
ギターアンサンブルAQUA・演奏
「オレンジ」(小関佳宏)演奏も (ギタードリーム20号に楽譜掲載)
「チャルダッシュ」(モンティ)中島晴美・編曲
インタビューは、佐藤弘和さん。抜粋を引用します。
はじめに、菅原 潤さんの言葉があります。
実は私と佐藤の出会いは古い。彼が弘前から出てきた頃だから、20年来の知り合いである。出会ってすぐに自作を何曲か弾いてもらったが、フランス風な和音にも感心したし、何よりも作品自体の完成度の高さに驚いたのを憶えている。非凡な才能の持ち主である。
私は佐藤作品を数多く出版し、広く流布させたと自負しているが、楽曲紹介ばかり注力し、佐藤本人の詳しい紹介をしていなかった。本邦初のインタビューを始めよう。
『現代ギター』(1991年7月号)に佐藤さんの作品が初掲載されました。
編集後記に「佐藤弘和さんは、ここ数ヶ月、編集のアルバイトを頼んでいるギタリストの卵ですが、作曲もよくしているので、最新作を紹介します」とあります。
菅原さんの入社は1990年でした。
(菅原/小品が多いようですが⋯)
ピアノを弾いていた頃は「子供のための小品集」の類を弾くのが好きだったので、その影響かもしれない。技術的にはやさしいけれど、音楽的には魅力的なものを弾くことが多かった。聴くのもピアノや室内楽が多いんですよ。大袈裟な曲より、小品の方が好みなんですね。あと面倒くさがりなので、長い曲を書く根気がないといえばないかもしれない(笑)。
(菅原/作曲するときに心がけていることは何ですか?)
ギター曲においては、まず弾きやすいこと、メロディーがはっきりして分かりやすいこと。そして感覚重視。良いと思える音を選び、パッと閃いたアイディアを大事にしています。技術的にも音楽的にも背伸びをしないことも意識していますね。
(菅原/もっとも有名な曲は「素朴な歌」でしょうか、本人も認めますか?)
認めます(笑)!
(菅原/あの曲は、どういう感じで作られたのですか?)
ほかの曲と同じように、特別な理由もなく作られました(笑)。(原型は、最初のテーマ~中間~テーマの再現で終わりだった)今のバージョンは現代ギター誌に掲載する時に後半を工夫して完成させたものなのです。タイトルはあとから付けたような記憶があるので、たぶん純粋に口ずさむようにして自然に湧いてきたメロディーなのだと思います。
(菅原/自作の曲では、どの曲が好きですか?)
ソロでは「ソナチネ第1番」。このソナチネは難しいのであまり弾いていませんが、機会をみて弾きたい曲です。特に第3楽章「無窮動」が好きですね。
二重奏では「風が運んだ4つの歌」。四季それぞれの雰囲気が上手く表現できた曲かなと思っています。弾いていても充実感を感じる作品。
マンドリンとの「フランス組曲」は早い時期の作品ですが、実は演奏回数が一番多いのはこの曲かもしれません。
妻のために作った「約束」、「ことは」(娘の名前による。ベイビーズソングの1曲)も短いながらよくできた曲かなと思っています(笑)。
アルポリールについて。数少ない専門家であるジョン・ドーンと対談しています。
ドーン編曲の「アルポリールのための葬送行進曲」(6弦用)の楽譜も掲載。
(菅原/昨年のアルポリールのCDは、どのような経緯で製作されたのですか?)
1976年にジェファリ博士のソルの伝記を読んだ。ソルがアルポリールのための作品を作曲した、それらの作品がこれまで誰にも弾かれていないと書いてあった。「私が弾こうじゃないか」と思い、すぐにパリの国立図書館から楽譜を取り寄せたんだけど、オリジナルのアルポリールを探しているうちに30年が経ってしまったんだ。
(やっと手に入れ、修復後)練習に取り掛かり、アルバム『ソルの失われた音楽』として、ソルのアルポリールのための3作品「3つの小品」「6つの漸進的な小品」「葬送行進曲」を録音したというわけだ。
(菅原/ソルのアルポリール作品の音楽的価値については、どう思いますか?)
3作品とも、ソルの作曲家・ギターの名手としての能力を最大限に発揮して書かれた、質の高い音楽だと思うよ。広い音域と付加ネックの弦がもたらす効果が、曲をとても歌いやすく、しかもオペラのように雄弁なものにしている。本当に素晴らしいギター音楽だよ。(6弦ギター用に編曲して)弾いてみると、珍しい楽器のための単に目新しい音楽ではなく、大いにインスピレーションにあふれたギター曲だってことが分かるはずだよ。(囲み部分 2021/9/10追記)
ソルについて。「役に立たないギターの歴史」で、「魔笛の主題による変奏曲」の成立過程を考察しています。作曲時期について、ジェファリ博士は1819年頃としていますが、菅原さんは1813年より前のスペイン時代に成立した作品と見ています。
菅原さんは、この年の始め頃から体調を崩されていたそうです(20号に記述あり)。
振り返っているから言えることですが、やり残したことを少しでも形にしたかったのでは、と感じられる内容の号でした。
「想いの届く日」(ガルデル) この動画の編曲者は不明
「歌の翼に」(メンデルスゾーン) この動画は、キーの異なる國松竜次の編曲。
「練習曲第3番op.60-3」(カルカッシ)
「練習曲 第7番」(佐藤弘和)(2022/2/19追記)
「練習曲 第7番」(佐藤弘和)
「マーチ」(「イ長調の3つの小品」より)(佐藤弘和)(2022/9/4追記)
「エチュード」(「イ長調の3つの小品」より)(佐藤弘和)(2022/9/4追記)
「ワルツ」(「イ長調の3つの小品」より)(佐藤弘和) (2022/7/29追記)
「ワルツ」(「イ長調の3つの小品」より)(佐藤弘和)
「魔笛の主題による変奏曲op.9」[メッソニエ初版](ソル)
「魔笛の主題による変奏曲op.9」[メッソニエ改訂版](ソル)
「アルポリールのための葬送行進曲」(ソル)ジョン・ドーンのアルポリール演奏
「アルポリールのための葬送行進曲」(ソル)6弦の演奏、編曲者は不明
「24のデュエットより第22番」(ギター教則本op.27より) カルッリ
(2021/12/24追記)
「ドイツ民謡による幻想曲」(メルツ)
「ドイツ民謡による幻想曲」(メルツ)
「吹奏楽のための第2番組曲より行進曲」(ホルスト) (2021/9/10追記)
「吹奏楽のための第2番組曲より行進曲」(ホルスト)ユーフォ版(2021/9/10追記)
CD収録の曲
「古風な舞曲とアリア第3組曲よりイタリアーナ」 レスピーギ〈浪江慎二・編曲〉
この動画の編曲者は不明です。
「オレンジ」(小関佳宏)
小関さんのプロモーションビデオです。
「チャルダッシュ」(モンティ) この動画の編曲者は不明。