番外編で、武満徹の『SONGS』を取り上げました(2021/4/7~10)。
外国語の歌詞の曲が3つありました。日本語訳を補足します。
「雪」(瀬木慎一・作詞/フランス語)
雪がふっていた
おとこがはなれていったとき
おんなはまた泣き出す
白い夜のあとの
もうひとつの白い夜
「素晴らしい悪女」(永田文夫・作詞/スペイン語)(2021/5/22追記)
幸せ求めて私は泣きに泣いていた
常夏の太陽に満ちた
わがプエルトリコの大地よ
今はお前の栄光もすでに失われてしまった
心よ、心よ、私にうたっておくれ
そして私に過ぎた日の自由を与えておくれ
「ワルツ」(岩淵達治・作詞/ドイツ語)
まなかいに見る
君のかんばせ
だがもう君だとは
見分けられない
君はどこにいってしまった
君はどこに
昨日までの君は
むかし霧の中で君を見た
曇りガラスのむこうにいるようだった
君はとても近くにいたのに
それでいてとても遠いのだった。
むかし月光を浴びた
君を見たとき
君はガラスの肌にすっぽり包まれたようだった。
君は僕の好きな君だったが
それでいてどこか違うのだった。
あれは春のことだった。
僕は固く信じていた。
君はぼくのもの
ぼくらの心は
ひとつだと、心に固く。
昔 庭先で
別れを告げても
それでも君をあんなに近く感じた
いつか別れる定めであったにせよ
長いことぼくは忘れていたのだ
ある日突然君が他人になることがあるということを
今日の君の肌はまた硬く生気がなくなった
まるで他人の顔の面をつけたように
あれは春のことだった
ぼくは固く信じていた
君はぼくのもの
ぼくらの心は
ひとつだと、心に固く。
昔 庭先で
別れを告げた時
それでも君をあんなに近く感じた。
たとえ別れる定めであったにせよ。
まなかいに見る
君のかんばせ
だがもう君だとは
見分けられない。
君はどこにいってしまった
君はどこに。
昨日までの君は。
「雪」・「ワルツ」の歌詞は、CD『翼』(石川セリ)のライナーノートから引用。
「素晴らしい悪女」の歌詞は、『SONGS』(日本ショット 2006)から引用。
「雪(La Neige)」
「素晴らしい悪女」
「ワルツ」