えべけんさんの著作ではありませんが、大切な本と思い、取り上げます。
『ロス・インディオス・タクナウ』はドレミ楽譜出版社の発行(1997年12月30日)。
副題は「世界の名ギタリスト」・「タンゴ・ギター・デュオ」です。
7曲、83ページ。タブ譜・コードネーム付き。
歌と伴奏ではなく、ギターの二重奏の楽譜です。
編者は瀬賀倫夫(せが みちお)さんです。えべけんさんが監修を担当しています。
瀬賀倫夫さん(1950-2008)は新潟生まれ。中学2年のときにギターを始め、1975年ギター・デュオ「ロス・デル・セキヤ」を結成して活躍。アルゼンチンの音楽祭にも出演。1995年からはテレビ番組のレポーターも。亡くなる直前まで、ギターのライブを続けられていたそうです。
えべけんさんとは中学・高校の同級生。というより、ギターの道に進ませた張本人のようです。『現代ギター』1984年7月号、2002年9月号に記述があります。
瀬賀さんのブログが残されていて、2006年4月21日、2006年8月23日、2007年1月8日に、交友の様子があります。
まえがきに「刊行実現に向け長年にわたり奔走し、全楽譜の監修の労をもとってくれた畏友江部賢一氏」とあります。採譜は、瀬賀さん自身がされたのかも知れません。ブログによると、この本は「あまり売れなかった」そうです。
淡き光に(採譜・二重奏)
わが愛のミロンガ(採譜・二重奏)
軍靴の響き(採譜・二重奏)
コンドルは飛んで行く(採譜・二重奏)
エル・チョクロ(採譜・二重奏)
パリのカナロ(採譜・二重奏)
ダンサリン(採譜・二重奏)
タクナウの略歴と奏法の記事があります。曲目と演奏の解説もあります。親交のあった人ならではの文章です。
ISBN4-8108-6061-2
「わが愛のミロンガ」
「コンドルは飛んで行く」
「パリのカナロ」
ロス・デル・セキヤ(Los Del Sequia)の動画も残っています。
「瀬賀倫夫のこと」(『現代ギター』2002年9月号)を引用します。
「先日、新潟と長岡でボサ・ノヴァを中心にしたコンサートを行う機会があった。高校時代からの盟友・瀬賀倫夫が企画してくれた、彼とのジョイント・コンサートだった。改めて紹介するまでもないが、瀬賀は新潟が生んだ稀有なアルゼンチン系ラテン・ギタリストであり、新潟のTVには欠かせない人気温泉(旅?)リポーターでもあるのだ。」
「瀬賀とはベンチャーズやビートルズ、そしてクラシック・ギターやボサ・ノヴァも研究し合った仲である。当時彼はフラメンコも得意にしており、それまでベンチャーズしかやっていなかった筆者にガット・ギター、クラシック・ギターの面白さを教えてくれたのだった。彼の弾くヴィラ=ロボスのショーロや〈ジェットのサンバ〉を目の当たりいてショックを覚えたのが忘れられない。」
「今思うと、彼に出会わなかったらギターをやってなかったかもしれない。お互いの家に遊びに行き、ビートルズの楽曲などをよく演奏して歌ったりもしていたが、調子に乗って高校の文化祭に2人で出演してしまったこともある。」
「それ以来、筆者はクラシック・ギターやボサ・ノヴァの虜になってしまったのだが、彼はもともと好きだったアルゼンチン系の音楽にどんどん傾倒していった。ユパンキやロス・インディオス・タクナウ、ピアソラなどアルゼンチンのフォルクローレ、タンゴなどの音楽が彼の最も得意とする分野なのだ。」